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“映画の星座盤”第59回「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画と映画を繋げていきます。

Three Musketeers_poster

★ポール・“ダメな方”・アンダーソンって誰?
 これまで何度も映画化されてきたアレクサンドル・デュマの『三銃士』の最新映画化が「三銃士/王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船」(2011年)。これはもうびっくりしますよ。なんてったって主人公のダルタニアンと三銃士よりも悪女ミレディの方が目立つんですから。この映画では前半のアクションをほぼミレディが担当。驚異の身体能力で弾は避けるは、ベルサイユ宮殿に侵入するはで、もう「ルパン三世」の峰不二子状態。演じているのがミラ・ジョヴォビッチなもんだから、今自分が観ているのが「三銃士」なのか、「バイオハザード」(2001年)なのか判らなくなります。正直、『三銃士』ファンは目が点になること必至です。

 でもこれは仕方が無いんです。だって監督がポール・W・S・アンダーソンですから。ええ、そうです、「バイオハザード」の監督。そしてミラの夫君です。ポールはとにかく“女房LOVE”なんですよ、彼の前作は「バイオハザード4 アフターライフ」(2010年)。シリーズ初の3D映画で、ポールにとって一作目以来のシリーズ監督復帰作だったんですが、彼が何をしたかっていうと
「見て!僕の奥さん、カッコイイでしょ!ステキでしょ!」
って感じで、ミラを3Dで飛び出させたり、スローモーションで綺麗に撮ったりそんなことばかり。お話なんか、二の次、三の次だったんです。だから今回もダルタニアンと三銃士の物語よりもルイ王朝時代のファッションに身を包んだミラをどれだけ綺麗に撮るかってことに注力してしまうわけで…。ここまでわが女房を愛するなんて亭主の鑑と言えますけど、私はこう言いたい。
「なあ、ポール。僕はお前ほどミラに魅力を感じねえんだよ」と。

 そんな彼を私の周りでは、ポール・“ダメな方”・アンダーソンと呼んでいます。これは同姓同名で「ゼア・ウィル・ビー・ブラッド」(2007年)や「ブギーナイツ」(1997年)といったアカデミー賞クラスの力作を発表しているポール・トーマス・アンダーソンと区別するためなんですよ。
 ミラしか撮る気が無かった“ダメな方”・アンダーソンなんですけど、一応、映画を撮るにあたって参考にした作品があるんですね。それはビートルズ映画で知られるイギリスの異才リチャード・レスターの「三銃士」(1973年)、「四銃士」(1975年)です。

★「三銃士」「四銃士」の思ひ出
 レスターの「三銃士」「四銃士」には面白い逸話があるんです。実はこの映画、3時間一本の映画に仕上げるつもりだったんです。でもプロデューサーが思ったんです。
「待てよ、一本で公開するよりも二本に分けた方が儲かるんじゃないか?」
 で、やっちゃいました。結果、何が起こったかっていうと出演者たちからの訴訟です。二本に分けて公開するならギャラも二本分よこせって。当然ですよね。おかげで後篇「四銃士」は公開出来なくなってしまい、結局、プロデューサーは俳優たちにギャラを払う羽目になっちゃったんです。悪い事は出来ませんね~。

 そんな訳あり映画の二部作ですが、その面白さは絶品。シリアスな物語にひょいと顔を出すコメディタッチが絶妙なんです。しかも出演者は70年代当時の米・英の主演級スターがずらり。まさに豪華絢爛。私は高校の時に二本立てで観たんですけど、こんな面白い映画があっていいのかって思いましたよ。以来、何度も観ているんですけど、いつも至福の時が過ごせます。

 でも一度だけ、残念なことがありました。もう十数年前ですが、当時付き合っていた女性に自信満々で見せたんですよ。そしたら彼女、こう言ったんです。
「ピンと来ない…」
ガ~ンですよ。我を忘れた私は彼女に聞きました。
「何故、どうして?」
彼女曰く、「だって、知らない俳優ばっかりなんだもん」
そうなんです、私にとって、「三銃士」「四銃士」に出ているのは知っているスターばかりだったんですけど、彼女にとって彼らは未知の人だったんです。その時、私は気づいたんです。
「俳優を知らないと映画は思ったよりも楽しめない。それは昔の映画になればなるほどそうだ」ってことを。
 その後、私は彼女に「三銃士」「四銃士」に出ているスターの出演映画の数々をそれとは気付かれない程度に見せ続けたんですよ。そして、数年後、「三銃士」「四銃士」に再挑戦させたんです、その時、彼女はこう言いました。
「無茶苦茶楽しい、無茶苦茶面白い!」
やったぁ!そして私は彼女と結婚しました。おっとっと、女房自慢をしてしまいました。これでは“ダメな方”・アンダーソンを笑えない。危ない、危ない。話を元に戻して…、やっぱり、豪華スター競演の映画って楽しいですよね。それも単独で主演を務められる格のあるスターがずらりと出演している映画は。例えば、そう「ニューイヤーズ・イブ」(2011年)なんて最高!

★まさに盆と正月が一度に来たようなお祭り映画「ニューイヤーズ・イブ」
 「ニューイヤーズ・イブ」は2010年に公開された「バレンタインデー」の姉妹編。監督も脚本も同じ人です。「バレンタインデー」は思いの外、面白くなかったってよく聞きますけど、今回は違います。かなりいけます。何といってもキャストがいいのです。映画のスターとTVドラマのスターがそれぞれ持ち味ともいえる役柄を楽しそうに演じているのです。肩の力を抜いた彼らののびのびとした演技を観ていると、GWなのに盆と正月が一度に来たような気分になれます。

 物語の興味を引っ張るのはヒラリー・スワンク、ハル・ベリー、ロバート・デ・ニーロ、ミシェル・ファイファーら映画スターの面々。中でもスワンクはキャリア最高の愛らしさを披露。一方、サラ・ジェシカ・パーカー、キャサリン・ハイグル、ザック・エフロン、「グリー」のリア・ミッシェルらTVドラマのスターは脇筋を担当。儲け役はリア・ミッシェル。「グリー」ファンなら大喜びすること間違いなし。でも観る人全員を唖然とさせるのはサラ・ジェシカだったりします。彼女がどんなことをするのかは観てのお楽しみですが、それを観た時、誰もがこう呟くはず。
「サラ、やっぱりあんたはスーパースターだ、良くも悪くもな…」ってね。

 それでは、また来月!

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年5月号)
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2012/05/01(火) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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