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“映画の星座盤”第58回「カウボーイ&エイリアン」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画と映画を繋げていきます。

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 今月の星座盤は「カウボーイ&エイリアン」の驚くべき製作過程を再現。どこまで信じるかは読者次第。これがハリウッドの内幕だ?!

★序章 1996年7月4日
 アメリカの建国記念日に20世紀FOXが公開した「インデペンデンス・デイ」は全世界で製作費の10倍以上の興業収入を上げるメガヒット作になった。負けてはならじと、ハリウッドの映画会社社長たちは同様の作品の企画案を社員に命じた。

★第一章 1997年 八方ふさがりと思いきや…。
 映画会社ユニバーサルの企画部部長(仮名)と部員(仮名)は頭を抱えていた。
部員「何も浮かびません。エイリアンもので新ネタなんてありませんよ」
部長「そんなん判っとるわ。けど社長命令やから、何か考えんとしゃあないやろが」
その時、部長の机の上の電話が鳴った。
部長「誰や、今時分。」「もしもし…いやぁ、スピルバーグさんでっか。えっ、映画の企画がある。どんな話でっか?エイリアン!ちょちょっ、よう聞かしとくんなはれ」

★第二章 1997年 無理が通れば道理が引っ込む
 社長以下、重役たちの前に立つ部長。
部長「マリブにあるコミック出版社の社長がスピルバーグはんとこに持ち込んだ企画らしいんですけど、タイトルがずばり「カウボーイ&エイリアン」」
社長「西部劇とSFの合体か!アメリカ的じゃないか」
部長「さいな、ほんまコロンブスの卵みたいな企画でっせ、これ」
社長「よしっ、判った!スピルバーグのドリームワークスと共同で製作GOだ!」
社長の興奮は周りの重役たちにも伝染し、会議場は早々と祝勝会のような雰囲気に。
部員「黙ってていいんですか?まだ誰もストーリーを考えてないのを」
部長「後で何かでっちあげたらええやないか」

★第三章 1997~2004年 瓢箪から駒は出ず…。
 部長と部員は西部開拓時代のカウボーイがエイリアンと戦うなんて設定はコメディにしかならないと判断し、ジム・キャリーを主演に想定。彼とコンビを組んでいた脚本家を雇った。しかし、そもそもタイトルだけの企画、そうそう面白い物語が生まれるはずもなく、やがてジム・キャリーが離脱。そうこうしている内に企画自体、ライバル会社のソニーに売り払われてしまった。ところが…。

★第四章 2007年 憎まれっ子、世に憚る
 部長が業界紙を読んでいると、部員が部屋に駆け込んできた。
部員「大変です!「カウボーイ&エイリアン」がうちに帰ってきました」
部長「何でや?」
部員「昨年、コミック版がようやく出版されたんですが、ソニーは映画化する気がないんです。で、スピルバーグさんと出版社が社長に泣きついて…」
部長「今さら、何やねん」

★第五章 2008~2009年 二度あることは三度ある
 地獄の底から蘇った「カウボーイ&エイリアン」にウンザリする部長と部員だったが、運は彼らに味方した。ロバート・ダウニー・Jrが企画に興味を示したのだ。その上、ダウニー・Jrの線で「アイアンマン」シリーズのジョン・ファヴロー監督がメガホンをとることになった。過去10年間に書かれた7つのバージョン違いの脚本はボツになり、「アイアンマン」の脚本家によってダウニー・Jr用に脚本も執筆された。しかし好事魔多し。何とダウニー・Jrが「シャーロック・ホームズ」2作目のために降板してしまったのだ。

★第六章 2010年 捨てる神あれば拾う神あり
部長「主演がおらんようになってもうたやないか!どないすんねん、これ」
部員「ご安心ください。こんな事もあろうかと、別のスターに声をかけておきました」
部長「誰や?」
部員「ダニエル・クレイグです」
部長「う~ん、しかしダウニー・Jrと比べると弱いで、それ」
部員「ご安心を。スピルバーグさんの線でもう一人、強烈な人からOK貰いました」
部長「まさか…」
部員「そうです。ハリソン・フォードです」
部長「こらぁ、007とインディ・ジョーンズの「インデペンデンス・デイ」やがな」
部員「しかもですね、脚本家にはダニエルはスティーブ・マックィーンを、ハリソンはジョン・ウェインを思わせる役どころにするよう頼んでおいたんです」
部長「昔からの西部劇ファンにも目配せすんねんな。お前、なかなかやるやないか」
部員「ただひとつ、問題が…。ダニエルとハリソンではコメディになりませんが…」
部長「そんなもん誰が気にすんねん、これで大ヒット間違い無しや!」

★終章 2012年3月
 かくして部長と部員が足かけ15年の月日を費やして製作した「カウボーイ&エイリアン」がリリース。その出来はいかに?読者の方々の目で判断してほしい。ちなみにDVDは劇場公開版と同じ118分版、ブルーレイは18分長いエクステンデッド版である。

 それでは、また来月。

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年4月号)
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2012/04/01(日) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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