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“映画の星座盤”第56回「ワイルド・スピード MEGA MAX」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

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★「ワイルド・スピード MEGA MAX」は体育会系の「オーシャンズ11」
 2001年に第一作が公開されてから10年。シリーズ最新第5弾の「ワイルド・スピード MEGA MAX」は、これまでカーアクション主体の割と小振りな犯罪ものから大きく変わりました。なんと、警戒厳重・難攻不落のリオの警察署から大型金庫を盗み出すという「オーシャンズ11」(2001年)ばりの泥棒ものになったのです。しかし作戦を仕切るのがヴィン・ディーゼルとポール・ウォーカーというあんまり頭がよさそうに見えない走り屋コンビですから、ジョージ・クルーニーと11人の仲間のような洒落た盗みのテクニックなんてありません。まぁ、一応、彼らなりに計画は立てるんですが、これが爆笑必至。興を殺がない程度に説明しましょう。

 状況はこうです。大金庫は警察署の地下駐車場の隣にあります。これを盗むにはカスタムカーで運び出すしかありません。しかし地下駐車場の各所には監視カメラのレンズが光っています。どうやって大金庫に近づけばいいのか?

 すごい難関でしょう。皆さんならどうします?泥棒映画の定石から考えると監視カメラを無力化するのかなと思うでしょう。ディーゼルとその仲間は違いますよ。彼らの考えた方法とは、
カメラの死角をドリフトで突っ切る事。
街道レーサーらしいですね。こうしてメンバーたちは自慢のマシンで“死角ドリフト”に挑むんですが、全然ダメなんです。そりゃ、無理ですよ。車はでかいんだからカメラに映っちゃいます。ここで普通の人間なら別の案を考えるものなんですが、ディーゼルたちは違います。こう考えるんです。
「もっとチューンナップした車が必要だ!」
 そうじゃないだろ!と突っ込みを入れる間もなく、彼らはよりパワフルなカスタムカーを求めて公道レースに参戦します。レースに勝って対戦相手の車をGETするためです。こうして望み通りのカスタムカーを得た彼らは再び死角ドリフトに挑むのですが…。
 その結果は観てのお楽しみですが、彼らの最終判断にきっと皆さん突っ込むでしょう。
「最初から気づけよ、そんなこと!」

★CGに頼らないカーチェースこそ本物!お薦めカーチェイス映画!
 そんなこんなでディーゼルと愉快な仲間たちは大金庫を強奪します。その方法は「えいやっ!」て感じの力任せ。まさに強奪です。で、ここから始まる悪徳警官ばかりのリオ警察軍団とのカーチェイスが凄いんです。30分間延々と繰り広げられるのですが、全然飽きません。それどころか、「すげぇ~」って言葉が自然に口から出る程の大迫力なのです。とにかくリオの街を壊して、壊して、壊し回ります(ロケはリオに見立てたプエルトリコ)。私は21世紀に入ってから最高のカーチェイス「ターミネーター3」(2003年)だと思っていましたが、本作のカーチェイスはそれを遥かに凌ぐ出来栄えです。

 その凄さがどこから生まれるのかというと、スタントマンたちが実際にカーチェイスを行っていることに尽きます。スタントマンたちは命がけでハンドルを握っているのですから、画面から伝わる迫力が違うのです。
私は、ここ10年ぐらいのアクション映画はCGに頼りすぎだと思うんです。確かに「マトリックス/リローデッド」(2002年)や「トランスフォーマー/ダークサイドムーン」(2011年)などのマイケル・ベイ監督作のカーチェイスは確かに大仕掛けですよ。でもね、CGを使っているから正直、ゲームのデモ画面を観ているような気になるんですね。正直言って、カーチェイスでCGを使うなんて邪道も邪道、やってはならないものです。

 まぁ、中にはCGを使っても派手な見せ場になっていればいいじゃない?っていう人がいるかもしれませんね。そういう方には是非、昔のカーチェイス、そう、スティーブ・マックィーン主演の「ブリット」(1968年)を観ていただきたい。例えば「ブリット」はマックィーン自らハンドルを握って、なんと時速160キロのスピードを出しているのです。その命がけの臨場感はCGでは絶対に表現できませんって。

 ちなみに「ブリット」の世界的大ヒットによって1970年代はカーチェイス映画が大流行しました。その中でお薦めは「バニシング・ポイント」(1971年)、「フレンチ・コネクション」(1971年)、「重犯罪特捜班/ザ・セブンアップス」(1973年)、「バニシング in 60」(1974年)、「ダーティメリー クレイジーラリー」(1974年)、「悪魔の追跡」(1975年)、「ザ・カー」(1977年)、「ザ・ドライバー」(1978年)の8作品。と書いたものの、もしかしたら読者の皆さんの利用店舗に在庫がない場合があります。いずれも命がけのカースタントの真髄が堪能できる逸品ばかり。これらの作品を観ればCGに頼るカーチェイスが是とは言えなくなるはず。そして先人たちの伝統を正しく継承している「MEGA MAX」をより面白く観られるはずです。

★「MEGA MAX」はキングコング対ゴジラなのだ!
 「MEGA MAX」のお楽しみは生身のカーチェイスだけではありません。出演陣も見ものです。今回は過去のシリーズに登場した脇役キャラが総出演するのです。シリーズを観てきた人は嬉しくなる事間違いなしですが、注目は初登場キャラ、FBIの鬼捜査官ホブス。演じるのは元プロレスラー、“ロック様”ことドウェイン・ジョンソン。ジョンソンとディーゼルはキャラが被りますよね。二人ともマッチョなアクションスターなのに、ディーゼルは「キャプテン・ウルフ」(2005年)、ジョンソンは「ゲーム・プラン」(2007年)というディズニーのファミリー映画に出ていたり。そんな同族二人が本作で雌雄を決する激突を見せます。その肉弾戦はまるでキングコング対ゴジラばり。カーチェイスに負けないド迫力の見せ場になっていますからお楽しみに。
 最後になりますが、本作はエンドクレジットを最後まで観てくださいね。シリーズのファンにはあっと驚くオチがありますから(続編への伏線になっています)。

 それでは、また来月。

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年2月号)
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2012/02/01(水) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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