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“映画の星座盤”第4回「クィーン」「300<スリーハンドレッド>」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画と映画を繋げていきます。

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★今月最初に紹介するのは「クィーン」
 ダイアナ元皇太子妃事故死事件の対応に苦慮するイギリス王室と政府を描いた実録映画です。本作ではエリザベス二世女王を演じ、世界の著名な映画賞の主演女優賞をほぼ独占したのがヘレン・ミレン。イギリスのシェイクスピア女優で、NHKで放映されたイギリス産テレビ・ミステリー「第一容疑者」(1991~1996年)に主演して、日本でも知られるようになりました。しかし一時期まで、日本ではかなりマニアな映画ファンでないと顔と名前が一致しない女優だったのです。

 キャリアは結構古くって、1969年の「としごろ」でデビュー。南海の島での初老の画家と少女の交流を描いた作品です。ヘレンはこの作品で少女を演じ、デビュー作にしていきなりヌードを披露します。70年の日本公開前のポスターは、浜辺を素っ裸で走る彼女がメインビジュアルでした。残念ながら、この映画、日本では20年ぐらい前にビデオになったきり。まさにヘレンの“幻のヌード”映画なのです。

 映画マニアの間で彼女が知られるようになったのは1980年、アメリカの過激な男性誌“ペントハウス”が製作したエロとグロ満載の史劇大作「カリギュラ」(1980年)に出演した時。彼女が演じたのは、ローマ帝国最悪最凶の皇帝と呼ばれたカリギュラのお妃。この映画で彼女は、主演のマルコム・マクダウェル(「時計じかけのオレンジ」(1971年))との3Pなど、今からでは想像もできないあんなことこんなことをやっていました。翌年の「エクスカリバー」(1981年)では、イギリスの伝説アーサー王の姉で、彼との間に子供を身篭る魔女を前作に引き続いて、スキャンダラスに熱演。正直言ってこの頃の彼女は、シェイクスピア女優じゃなくてアングラ系のカルト女優でした。もっとも、両作とも彼女の演じた役柄は王族。現在の彼女が得意とする役柄と繋がっていないこともないですね。

 その後、ハリウッドに進出。父親の祖国であるロシア人の役を多く演じました。その中の一本、「ホワイトナイツ/白夜」(1985年)の監督テイラー・ハックフォードとは後に結婚しています。なお、「プラダを着た悪魔」(2006年)でメリル・ストリープが演じた役ですが、最初に出演を依頼されたのはヘレンだったそうです。もし、彼女があの役を演じていたら、どうなっていたかに興味ある方は、ケイト・ハドソン主演の「プリティ・ヘレン」(2004年)をどうぞ。

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★続いて紹介するのは「300<スリーハンドレッド>」
 ペルシア戦争の最中の紀元前480年、300人のスパルタ軍と100万のペルシア軍が激突したテルモビュライの戦いを描いた作品は他に「スパルタ総攻撃」(1962年)があります。今から40年以上も前の映画ですから、出演者は馴染みの薄い人ばかりですが、ギリシャ政府全面協力による現地ロケを敢行し、エーゲ海の陽光の中で真っ向勝負が展開されます。へぇ~って思うのは、オープニングとエンディングに映されるテルモピュライの戦場跡に作られた記念碑。あるんですね、こういうの。ギリシャに行った時には是非、ご見学を。
 この二作を観て思うんですけど、やっぱり燃えますよね~、「圧倒的ではないか、我が軍は」って感じの敵に対して、死を覚悟した少数の男たちが戦いを挑むってシチュエーションは!特に「300<スリーハンドレッド>」でレオニダス王が“THIS IS SPARTA!”と叫ぶとこなんか、「行けぇ~!」てなもんです。
 
 他にもあるんですよ、こういう多勢に無勢の“燃える”映画って。まずは、西部劇の巨人ジョン・ウェインが私財を投げ打って、監督・主演で作り上げた「アラモ」(1960年)。1836年、テキサス独立戦争中、7000人のメキシコ軍と13日間戦い玉砕した185人のアメリカ人の史実を基にした映画です。“THIS IS SPARTA!”ばりの“燃える宣戦布告”もあれば、ここで泣かなきゃ人じゃない!って涙腺直撃のシーンもあり。クライマックスでのアラモの砦の大攻防戦は、CG全盛の今の映画と一歩も引けを取らぬ大迫力。映画の本によると、本国アメリカでは大コケ、しかし日本では超がつくほど大ヒットを記録した作品だそうです。つまり、日本人好みの滅びの美学がある映画なんですね。そうそう、この映画と「300<スリーハンドレッド>」はテーマや根底の精神に共通点が多々ありますよ。

 そしてもう一本は、「ズール戦争」(1963年)。こちらは1879年、イギリスの植民地だった南アフリカのナタールで、ズール族最強の戦士4000人をたった100人で迎え討った守備隊を描いています。アフリカの大地で英国魂の真髄を見せる男たちのカッコ良いことと言ったら!とかく血が熱くなりがちなアメリカ映画とは違って、闘魂が静かに燃え上がります。とりわけ良いのが、映画初出演の本作で、一躍スターダムを駆け上った若き日の名優、マイケル・ケイン。シビレますよ、ほんと。「300<スリーハンドレッド>」や「アラモ」と違って、勝ち戦っていくというのもポイント高いです。

 夜空に輝く星のごとく無数にある映画についてのあれこれ。それを星座のように繋げるのが映画の楽しみ。今回、お作りした星座はいかがでしたか?

 それでは、また来月。

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2007年10月号)
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2007/10/01(月) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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