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“映画の星座盤”第63回「バトルシップ」「トータルリコール」など

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画と映画を繋げていきます。

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★今なぜか、再映画化
 「アベンジャーズ」(2012年)はご覧になりましたか? 私はまだ観ていませんが、「これが映画だ」ったですか?
 さて、私にはこの夏、もう一本、気になる映画があります。それは「トータル・リコール」(2012年)。主演はコリン・ファレル。ちなみにコリンは前回紹介したヒース・レジャーと一緒で、同じような役を演じたことがなく、毎回、違った役作りをする“メソッド俳優”なんですけど、それが全く評価されていないんですよね。「俺はコリン・ファレル!」って自己主張する濃い顔がまずいんでしょうけど、なんか、とっても可哀そうで。日本で云ったら山田孝之と思って貰えればいいでしょうね。彼も役作りの努力を広く認められない役者ですよね。

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 で、「トータル・リコール」なんですけど、これはシュワルツェネッガー主演で1990年に公開された同名映画の再映画化です。正直言って、再映画化の理由が判らないんですよね。細かいところにはいろいろ不満があるけど、オリジナルは今観ても充分面白いんですから。変えるところがあるとすれば、特撮ぐらいじゃないですかしら。ほんとこういう再映画化って、「誰が求めたの? 誰が得するの?」って感じです。ちなみに現在、同じシュワルツェネッガー主演映画「コマンドー」(1985年)の再映画化も進行中。主演はサム・ワーシントンが噂されているそうです。何だかな~、と思ってもいざ、公開されたらいそいそと見に行ってしまいそうです(勿論、「トータル・リコール」も見に行きますよ、ハイ)。

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 そう言えば「トータル・リコール」再映画化と同じく、「誰求? 誰得?」映画がもう一本ありました。綾瀬はるか主演の「映画 ひみつのアッコちゃん」(2012年)。原作は何回かアニメ化されている赤塚不二夫原作の昭和の漫画。この映画化を知った時、私は思いましたね。「綾瀬はるかなら「不思議なメルモちゃん」やろ!」ってね。判る人は判ってくれると思いますが、メルモちゃんの変身シーンをはるか嬢でやったら映画史に残る名シーンになると思うんですけどね。それにしても今、なぜ「アッコちゃん」なんですかしら、本当に判りません。まぁ、面白ければいいんですけど。

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そうそう、もし、「アッコちゃん」を観ようと思っている人は事前にある映画を観ておくことがお薦めです。それはジェニファー・ガーナー主演「13 ラブ 30」(2004年)って映画。はるか嬢の「アッコちゃん」とほぼ同じ物語なんですよ。監督は「ジュリエットからの手紙」(2010年)のゲイリー・ウィニック。マイケル・ジャクソンの「スリラー」を知っている人は楽しいシーンがありますよ。

★「レーダー作戦ゲーム」って知っていますか?
無茶な映画化は過去の映画や漫画だけに留まらないのが、最近の傾向。映画化は不可能ってボードゲームを映画化しようという無謀というか、果敢というかとんでもないことをしでかす(しでかそう)とする人がいます。有名なのは「プロメテウス」(2012年)の巨匠リドリー・スコットもそのひとり。なんとこの人、ここ数年、ずっとあるボードゲームを映画化しようと頑張っています。そのゲームの名は『モノポリー』。ええ、あの不動産取引する西洋双六ゲームです。スコットはこれを現在の世界不況を背景にした「ウォール街」(1985年)みたいな経済映画にしたいそうです。それなら『モノポリー』でなくてもいいじゃんと思うのは私だけでしょうか?

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実は9月5日リリースの「バトルシップ」(2012年)もそんなボードゲームから想を得た映画なのです。基になったゲームは現在、40~50代なら子供の頃、一度はやったことがあるだろう『レーダー作戦ゲーム』。ほら、升目に置かれた敵の船の位置を互いに推理する二人用のゲームあったでしょう。人によっては方眼紙でやったりして。あれです、あれ。
そんなゲームを映画化するという無謀な計画を実行したのは、21世紀最高の銃撃戦映画「キングダム/見えざる敵」(2007年)やウィル・スミス主演の「ハンコック」(2008年)のピーター・バーグ監督。中身は基のゲームから想像もつかない侵略SF超大作に仕立てました。

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侵略SF超大作というと「インデペンデンス・デイ」(1996年)や「トランスフォーマー」(2007年)と同傾向の映画があるので、「新味がねぇなぁ」と思ってしまう人もいるでしょうね。でも、そんなことはバーグ監督ら作り手だって先刻承知。先達の作品との差別化を図るために彼らがやったのは、作品のテーマを“青年の成長”を軸とした克己心に置き、全体のテイストをコメディ調にすること。これがかなり功を奏していて、“愉快痛快な体育会熱血少年漫画”のノリの作品に仕上がっています。

そんな作り手の姿勢は映画始まって10分も経たぬ内にハッキリします。かの有名な『ピンクパンサーのテーマ』が流れる中、主人公がSF超大作とは思えぬドタバタを繰り広げるのです。実際にネットで話題になった防犯ビデオ映像を下敷きにした、このシーンを観た時、誰もが「えっ、こういう映画なの?」と思うはず。ええ、そういう映画です。だから、それ以降はコメディ映画のつもりで楽しんでください。

先の展開が読める映画はダメという意見をよく聴きますけど、映画の中には「こうあって欲しい展開がその通りに起こる」から面白く、楽しくなる映画もあります。「バトルシップ」はそんな映画です。この映画の登場人物たちは初登場の時から、この先どういう目にあって、どんな行動を取るか手に取るように予想出来、実際、その通りになります。その安心感・安定感の心地よさは、まるで親しい友人と一緒にいる時のようです。
「バトルシップ」を観る時は、ビール片手にお気楽にご覧ください。そうすればきっと、歴戦の勇士が立ちあがるクライマックスでは「行け~!」と“陽気でマッチョなアメリカン”みたいに盛り上がれます。

 ところで、『レーダー作戦ゲーム』が映画化され、『モノポリー』も映画化が予定されていると聞くと、そのうち『人生ゲーム』もって思いますね。中身はルーレットで人生が決まるっていう社会派SF群像劇としてね。

それでは、また来月!

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年9月号)
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2012/09/01(土) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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