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“映画の星座盤”第8回「ウィッカーマン」「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画と映画を繋げていきます。

★今月最初に紹介するのは「ウィッカーマン」

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 ニコラス・ケイジが“ウィッカーマン”に変身する「ゴーストライダー」(2006年)みたいなアメコミ・ヒーローものではありませんよ。“ウィッカーマン”とは、ジュリアス・シーザーが書いた「ガリア戦記」にも記述されている柳の枝で編まれた巨大な人型の檻のこと。古代イギリスに存在した宗教に伝わるものです。ネタバレになるので詳しく物語を紹介出来ませんが、この“ウィッカーマン”にまつわる恐怖譚を描いたのが本作です。

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 実はこの作品はリメイク作。基になっているのはイギリス映画「ウィッカーマン」(1973年)。主演は、昔はドラキュラ映画、最近は「スターウォーズ/エピソード2」(2002年)、「ロード・オブ・ザ・リング」(2001年)、「チャーリーとチョコレート工場」(2005年)で知られるクリストファー・リー。民俗学とホラー、そしてミュージカルを合体させた奇跡の一本として、1974年にパリ・ファンタスティック映画祭でグランプリを獲得し、公開から30年以上たった今も高い評価を受け、カルト的人気を誇る傑作なのです。

 そんな映画をリメイクするという無謀ともいえることをそもそも考え出したのは、ニコラス・ケイジ自身。何でも友人のジョニー・ラモーン(パンクバンド、ラモーンズのメンバー)にオリジナル版を薦められた彼は、その素晴らしさに圧倒(彼って、かなりのオタクなんです)。即座に自ら制作・主演での再映画化を決断したのだそうです。

 そんなケイジの熱意がどういう結果を生み出したのかは観てのお楽しみですが、オリジナル版の監督ロビン・ハーディは本作に大層ご立腹だとか。怒った彼は自ら、オリジナルの物語を現代に移した「COWBOYS FOR CHRIST」というタイトルの脚本を執筆。2008年公開を目処に準備中だとか。こちらの日本公開は未定ですが、二つの新しい“ウィッカーマン”対決の行方が気になりますね。

 これほどまでに多くの人を魅了する伝説的なオリジナルの「ウィッカーマン」。残念ながら日本では現在、普通には観ることが出来ません。
(※追記:2008年レンタルDVD発売。2011年6月にDVD発売され現在出荷停止中。)

 ところで、この「ウィッカーマン」もので何が怖いかって言うと、“自分以外町中全部敵”っていうところ。この手のシチュエーションってSFやホラーの十八番なんです。SFの代表は、ドナルド・サザーランド主演の「SF/ボディスナッチャー」(1978年)。人間と入れ替わるエイリアンの侵略を描いた作品です。原作はジャック・フィニィの『盗まれた街』。実はこの小説は本作を含めて四度映画化されているんです。四度目の映画化はニコール・キッドマン主演の「インベーション」(2007年)です。
 ホラーの代表は、アメリカ怪奇小説の巨人H・P・ラブクラフトの短編を映画化した「DAGON」(2001年)と、スプラッター映画の古典を再映画化した「2001人の狂宴」(2005年)の二作。心理的な恐怖を求める方は前者を、それと一緒に肉体的な痛みも体験したい方は後者がお薦めです。

★続いて紹介するのは「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」

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 三池崇史監督が伊藤英明らオールスターキャストで作った作品です。タイトルの“スキヤキ・ウエスタン”はイタリア製西部劇の通称“マカロニ・ウエスタン”に負けない日本製西部劇を目指した作り手の決意を表したもの。そして“ジャンゴ”はその名を冠した作品が100本以上作られたという“マカロニ・ウエスタン”の代名詞ともいえる名前なのです。

 本作を観る前に絶対に観ておかなければならない作品が三本あります。

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まずはセルジオ・コルブッチ監督、フランコ・ネロ主演の「続・荒野の用心棒」(1966年)。何を隠そう、この映画こそ、ジャンゴを名乗るガンマンが最初に登場した“マカロニ・ウエスタン”なのです。しかも「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」は本作からの引用がいっぱい。そもそも本作の物語自体、「続・荒野の用心棒」と近似。例えば、劇中で伊藤英明が棺桶からガトリング銃と呼ばれる大型機関銃を取り出すシーンがありますが、これこそ「続・荒野の用心棒」最大の見せ場。ちなみにこの“棺桶からガトリング銃”は「ターミネーター3」(2003年)でも真似られています。また、ラストで流れる北島三郎が熱唱する歌は「続・荒野の用心棒」の主題歌の日本語カバーなのです。

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 次に「荒野の用心棒」(1964年)。“マカロニ・ウエスタン”の世界的ブームを巻き起こし、クリント・イーストウッドを大スターにした記念碑的作品です。そしてもう一本は「荒野の用心棒」の基になった黒澤明監督、三船敏郎主演の「用心棒」(1961年)。「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」には、この二作からの引用もあります。
 これらの作品を先に観ておくと、「スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ」が二倍も三倍も理解でき、得した気分になること間違いなしです。

 夜空に輝く星のごとく無数にある映画についてのあれこれ。それを星座のように繋げるのが映画の楽しみ。今回、お作りした星座はいかがでしたか?

 それでは、また来月。

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2008年2月号)
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2008/02/01(金) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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