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“映画の星座盤”第13回「ジェシー・ジェームズの暗殺」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

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 「ジェシー・ジェームズの暗殺」(2007年)は、アメリカ西部開拓時代、伝説の無法者ジェシー・ジェイムズの最期の日々を、彼を殺した一人の卑怯者の視点で描いた西部劇です。と書いても、ほとんどの人は「ジェシー・ジェイムズ?誰それ?」って感じでしょうね。そこで、まずはジェシー・ジェイムズの説明から始めましょう。

★無法者ジェシー・ジェイムズの伝説
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 ジェシー・ジェイムズは1847年ミズーリ州生まれ。1861年に「南北戦争」が始まると、16歳だったジェシーは4歳上の兄フランク、従兄弟のヤンガー三兄弟とともに南軍に参加し、ゲリラ部隊で活躍します。
 しかし、ジェームズ兄弟たちの活躍も空しく、1865年、南軍の敗北で戦争は終結。そしてジェームズ兄弟は正規兵ではないゲリラ部隊員だったため、戦争犯罪者として追われることになり、逃亡の旅を強いられてしまいます。

 同じ頃、勝利した北部から大勢の資本家たちが南部諸州へ乗り込んできます。そして、二束三文の値段で南部の土地を買い取って行ったのです。ジェームズ兄弟の故郷ミズーリも例外ではありませんでした。兄弟の家族、友人たちは次々と土地を追われ、苦しい生活を余儀なくされたのです。
 この故郷の苦境にジェームズ兄弟は敢然と立ち上がりました。戦友であるヤンガー兄弟、ミラー兄弟と共に北部系の銀行襲撃を決意。1866年2月13日、世界初の銀行強盗を行いました。見事、強奪に成功した一党は以後、約10年間、中西部を中心に銀行、列車、駅馬車の襲撃を繰り返します。
ジェシー・ジェームズの名を一躍高めたのは、列車強盗で「ご婦人と労働者からは盗らず、金持ちの紳士からのみ奪う」の名台詞を吐いた時だと言われています。これを契機に敗戦で意気消沈していた南部大衆は、北部資本に挑戦するジェシーの強盗団に喝采を贈るようになったのでした。

 1876年、ジェシーの運命は暗転します。北部ミネソタ州ノースフィールドの銀行を襲撃したのですが、北部辺境の住民たちの反撃を受け、総勢8人の強盗団で逃げ延びたのはジェシーとフランクだけという悲惨な結果に終わってしまいます。
 その後も、ジェシーは強盗団を再編し銀行襲撃を続けますが、1882年、賞金に目が眩んだ子分チャーリーとボブのフォード兄弟に背後から撃たれ、34年の人生に幕を下ろしたのでした。
無法者とはいえ、ジェシーの悲劇的な最期にアメリカ国民は深い同情を寄せました。特に南部ではジェシーへの共感は深く、伝説的英雄として語り継がれていったのです。

★ジェシー・ジェイムズ映画化作品
 英雄となったジェシー・ジェイムズをハリウッドが放っておくわけがありません。これまでにジェシーを素材にした映画は、なんと19本も製作されています。映画史上初のジェシー・ジェームズ映画は1921年の「JESSE JAMES UNDER THE BLACK FLAG」(日本未公開)。なんとこの映画でジェシーを演じているのはジェシー・ジェイムズJr。ご想像の通り、ジェシーの実の息子なんです。本職は弁護士だそうですが、同じ年、もう1本のジェシー・ジェームズ映画にも主演しています。

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 日本でジェシー・ジェイムズの名を知らしめたのは1939年の「地獄への道」。ジェシーを「愛情物語」(1956年)で知られるハンサム・スター、タイロン・パワーが、兄フランクを「十二人の怒れる男」(1957年)などの名優、ヘンリー・フォンダが演じています。語り継がれている伝説に忠実で、ジェシーは心ならずも無法者になった好青年として描かれています。ジェシーの死で物語は終わりますが、大ヒットしたため、翌年には続編「地獄への逆襲」(1940年)が公開されます。こちらの主演はヘンリー・フォンダ。フランク・ジェームズが弟の仇フォード兄弟を追うという物語になっています。なお、「地獄への道」は1957年、「無法の王者ジェシィ・ジェイムズ」というタイトルでリメイクされています。ジェシーとフランクを演じるのはロバート・ワグナーとジェフリー・ハンターという50年代後半の若手スター。「理由なき反抗」(1955年)のニコラス・レイが監督しています。

 その後70年代までのジェシー・ジェイムズ映画で注目は2つ。1本は「ジェシー・ジェイムズとフランケンシュタインの娘」(1965年)。内容はタイトル通りです。まぁ、珍品ですわな。日本ではTV放映されました。もう1本はヨーロッパでカルト的な人気を誇る異才監督サミュエル・フラーの「地獄への挑戦」(1949年)。この映画の主人公はボブ・フォード。ジェシーを背後から撃った後の、流転の人生を描いています。つまり、この映画が「ジェシー・ジェームズの暗殺」の原点になっているのです。日本では未だにソフト化されていないので、観ることが出来ないのが残念です。

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 1980年、究極のジェシー映画「ロング・ライダーズ」が誕生します。「ストリート・オブ・ファイヤー」(1984年)のウォルター・ヒル監督作。これが何故に究極と呼ばれるかと言うと、答えはキャストにあります。何と登場するジェームズ兄弟、ヤンガー兄弟、ミラー兄弟、そしてフォード兄弟をすべて本当の兄弟俳優が演じているのです。本作の素晴らしさはそれだけではありません。アクションは迫力たっぷりだし、黄昏の西部を捉える撮影は絶品。バックに流れるトラディショナル音楽も抜群です。ジェシー・ジェイムズに興味を持った人は絶対に観なくてはいけない秀作です。

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 21世紀最初のジェシー映画は2001年の「アメリカン・アウトロー」。ジェシーを演じているのはコリン・ファレル。彼のジェシーは、これまでにない稚気に溢れた熱血漢になっています。この映画の凄いのは、歴史的事実を完全無視した事。ジェシー映画なのにハッピーエンドで終わるんです。「ジェシー・ジェイムズの暗殺」と一緒に観た日にゃ、腰を抜かす事間違いなし。でも痛快だから許す!ちなみにヒロインは米TVドラマ「HEROES」のアリ・ラーターが務めています。

 夜空に輝く星のごとく無数にある映画についてのあれこれ。それを星座のように繋げるのが映画の楽しみ。今回、お作りした星座はいかがでしたか?

 それでは、また来月。

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2008年7月号)
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2008/07/01(火) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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