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“映画の星座盤”第64回「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」「アベンジャーズ」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

★「踊る大捜査線」とアメコミ映画はコインの裏表
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 「踊る大捜査線 THE FINAL」(2012年)はご覧になりましたか? 「新たなる希望」は見えましたか? 一応、これで最後ってことになっていますけど、副題が副題なだけに何年か後に「警察庁の逆襲」とか「青島の帰還」とかやりそうです。

 それにしても「踊る~」に限らず、「相棒」とか「臨場」とかTVドラマの映画版の犯人の設定ってどれもよく似ています。何年か前に事件があって、その加害者に日本の法体系は相応の罪を与えられなくって、それに怒った被害者の関係者が独自に正義を執行、早い話が必殺処刑人になるんですよね。

 こういう「法の許しを得ずに正義を執行することを是とする考え」をアメリカでは“ビジランティズム/自警主義”って言います。煎じつめると「目的は行為を正当化する」って考え方で、批判の対象になったりするんですが、“ビジランティズム”って全否定しづらいです。だって法が被害者を救ってくれないとしたらって考えればね。

 実際、アメリカ人はかなり肯定的なんですよね。例えばクリント・イーストウッドの「ダーティハリー」(1971年)、チャールズ・ブロンソンの「狼よさらば」(1974年)といった“ビジランティズム”肯定の映画が大ヒットして、シリーズ化されましたし、そもそも「バットマン」「スパイダーマン」などアメコミ・ヒーローなんかの行動動機は“ビジランティズム”以外の何ものでもありません。

 一方、日本の場合、“ビジランティズム”な犯人が登場する映画ばかりですけど、その是非は曖昧に終わらせます。“ビジランティズム”の根っこには“被害者とその関係者のケア”という問題が関わってくるので、結論を出すのは非常に難しいだけに曖昧にならざるをえないのでしょうね。それでもこれだけは言っておきましょう。そろそろ犯人像の設定を変えてくださいってね。

 そうした中で、同じフジテレビ系の映画でも「海猿」は続編を作る気満々ですね。主人公が海上保安庁なんですから、次回作は最近、何かとニュースになる竹島か尖閣諸島で起きる海難事故をネタにして貰いたいですね。領土問題という非常にシリアスなテーマを娯楽映画に仕立てあげたら、それこそ胸を張って言えると思うんです。
「世界よ、これが日本映画だ。」ってね。

★アメリカよ これが日本のアベンジャーズだ!
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 コピーが「何様やねん」ってネットで批判された「アベンジャーズ」ですけど、あの作品が「映画だ!」って大向こうを張るのは、アイアンマンや超人ハルクら一人でも作品のピンを任せられるスーパーヒーローを集合させたことなんですかね。

 もしそうならとっても悔しい。だって日本ではそんな映画を2009年からもう何本も作ってきているんですから。それは東映の「劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー」(2009年)とか「オーズ・電王・オールライダー レッツゴー仮面ライダー」(2011年)とか「ゴーカイジャー ゴセイジャー スーパー戦隊199ヒーロー大決戦」(2011年)とか「仮面ライダー×スーパー戦隊 スーパーヒーロー大戦」(2012年)とかです。

 「何だ、ジャリ番組かよ」ってバカにしないでください。東映の変身ヒーローもののアクションは、スタントマンの動きも撮影も編集もハリウッドを凌駕していると言っても過言ではありません。ほんと、凄いんだから。「お話が子供向けでしょ?」なんて偏見もなしにしてもらいましょう。「アベンジャーズ」の物語だって、正直、大したことないんだから。

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 特に最後の「スーパーヒーロー大戦」はスゴイですよ。「アベンジャーズ」に登場するスーパーヒーローは6人だけど、こっちは仮面ライダー50人・スーパー戦隊173人、怪人97人・戦闘員165人の総勢485人が一つの画面に登場するんですよ。まさに着ぐるみを着た人間485人による大運動会。ハリウッドにはこんな無茶は出来ません。これこそ1954年の「ゴジラ」以来、着ぐるみ特撮を追求してきた日本映画界にしか作りだせないジャパニーズ・アベンジャーズ! アメリカ人に言ってやりましょう。
「アメリカよ、これが映画だ。」ってね。

★東映に望むもうひとつの「アベンジャーズ」
 妙に熱くなってしまいましたが、実は私、東映が大好きなんです。最近、『仁義なき日本沈没』(新潮新書)って本を読んだんですけど、そこには東映と東宝が日本映画界の覇者を巡って激突した戦後史が克明に記されていました。この本のクライマックスは下品で安手の映画ばかり作る会社と蔑まされていた東映が、お洒落で高級な映画作りを標榜していた東宝を興業で凌駕する1960年代後半から1970年代初頭のあたりです。その後、映画の自社製作を縮小していく東宝に対して、あくまで自社製作に専念した東映は1980年代前半には日本映画界のトップに君臨したのです。それが最近では完全に東宝の後塵を拝しています。もうこれが悔しくて、悔しくて。

 そこで考えたんです。東映が東宝に勝てる映画はないかって。東宝公開の映画の軸はフジTV、日テレ、TBSと組んだドラマの劇場版。東映も負けじと「相棒」や「臨場」なんかを作っていますが、「踊る~」や「海猿」や「SPEC」に比べると何かインパクトが弱い感じ。それを克服するのに必要なのは、毛利家の三本の矢の故事にならった別名“アベンジャーズ作戦”。
 いくつかの番組の登場人物が一堂に会する映画を作ればいいのです。東映はそれが出来るのです。と云うのも「相棒」などのテレ朝系の1時間枠捜査ものはすべて東映製作。つまりその枠のドラマシリーズの捜査員や刑事は、「アベンジャーズ」のヒーローのように集合させることは理論上、可能。

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 皆さん、想像してください。「臨場」の内野聖陽と「科捜研の女」の沢口靖子と「警視庁捜査一課9係」の渡瀬恒彦と「京都地検の女」の名取裕子が事件解決のために協力する姿を。ワクワクしませんか? もしこんな映画が出来たら、宣伝コピーはこれです。
「湾岸署よ、これが捜査だ。」ってね。

 それでは、また来月!

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年10月号)
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2012/10/01(月) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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