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“映画の星座盤”第66回「007」シリーズ

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

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★これがボンドマニアだ!
 私は毎日、12月1日を一日千秋の想いで待っています。だって、だっていよいよ公開なんですよ、「007」の最新作「スカイフォール」が!

 何を隠しましょう。私は「007」ジェームズ・ボンドの大ファンなんです。最初に観たのはシリーズ第4作「サンダーボール作戦」(1965年)。TBSの月曜ロードショー、1977年4月4日のことでしたね。翌週にはシリーズ第1作「ドクターノオ」(1962年)が放映されて、もうこれで「007」に魅せられまして、大人になったら、ショーン・コネリーのようなカッコ良い男になるんだって心に決めたものです。で、その年の暮れ、シリーズ第10作「私を愛したスパイ」が公開される頃には、中坊の分際で背伸びして、イアン・フレミングの原作シリーズを完全読破。親を拝み倒してサントラを買って貰って、それまでのシリーズ主題歌を全部マスター。かなりなボンドマニアになっていました。

 以来35年間、残念ながらコネリーのようなゴージャスな男になれなかったけど、「007」への愛は尽きることがありません。シリーズは一作を除き、最低5回は観直していますし(お気に入りのシーンだけを楽しむチョイ見はもっとね)、映像ソフトやCDはバージョンが変わるたびに買い替えるし、ミニカーなんかのキャラクター・グッズもかなり揃えましたね。家庭を持ってからはだいぶ控え目になりましたけど、それでも「007」には結構な額を“お布施”しています。こういう“お布施”を勿体ないと思われる方もいるでしょう。でも私にとってはこれが「007」への“愛の証”なんです。この気持ち、何かのファンになっている方なら判ってくれるでしょ?

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★残念作で判る「007」50年の秘密
 「007」ジェームズ・ボンドがスクリーンに登場したのは、1962年10月5日(日本は1963年6月8日)。それから半世紀、正編22本、番外編2本計24本が作られてきました。毎回、大掛かりなアクションと奇想天外な秘密兵器、ゴージャスな美女と魅力的なロケで世界中のファンを楽しませています。そう、スパイの代名詞と言えば「007」なのです。

 そんなボンド・シリーズですが、数本に一本、ファンを心底から失望させる作品が作られます。初代「007」ショーン・コネリーの再登板作であるシリーズ第7作「ダイヤモンドは永遠に」(1972年)、三代目ロジャー・ムーアのシリーズ第9作「黄金銃を持つ男」(1974年)とシリーズ第14作「美しき獲物たち」(1985年)、四代目ティモシー・ダルトンのシリーズ第16作「消されたライセンス」、五代目ピアース・ブロスナンのシリーズ第20作「ダイ・アナザー・デイ」、そして六代目ダニエル・クレイグのシリーズ第22作「慰めの報酬」(2008年)がそれです。

 もっとも年月が経つと、ファンの間に“許し”の感情が生まれてきて、「まっ、あれはあれでいいじゃない」って評価に変わることがあります。日本で撮影された「007は二度死ぬ」(1967年)、二代目ジョージ・レーゼンビーのシリーズ第6作「女王陛下の007」(1969年)、シリーズ第11作「ムーンレイカー」(1979年)とかは、その部類です。

 どうして、こんな失望作が出来るかと云うと、製作チームがその時代のトレンドを「007」に取り込むからなのです。トレンドを具体的に言うと他のヒット作の要素のことです。例えば「黄金銃を持つ男」はブルース・リーに代表されるカンフー映画「ムーンレイカー」はパロディ映画&SF特撮映画、「消されたライセンス」「リーサル・ウェポン」(1987年)など対犯罪組織アクション、「ダイ・アナザー・デイ」はマイケル・ベイ作品、「慰めの報酬」は「007」と同じイニシャルのジェイソン・ボーン・シリーズといった具合です。

 ボンドマニアにとって、「007」はワン&オンリーなものという想いが強いので、他の映画に影響を受けるのが我慢ならないのです。とは言え、製作チームが伝統に胡坐をかかず、あえて模倣を行ってきたからこそ、「007」の冒険が50年も続いたと言えるでしょうね。

 但し、私は「慰めの報酬」だけは今後もきっと再評価されないと思っています。前作「カジノ・ロワイヤル」(2006年)の出来が良すぎたので、評価のハードルが高くなったってのもあるのですが、ボンドガールがただの知り合いで終わるってのはないでしょうよ、ねえ?

★“「007」地獄旅”のお誘い
 今から20年ほど前、「007シリーズなんて馬鹿馬鹿しい」って言う友人を、「全作観ても同じことが言えるかな」と挑発したことがあります。それに乗った友人は、“「007」地獄旅”と自ら名付けた全作制覇に挑みました。結果、彼は新作が公開される度、劇場に飛んでいく熱心なボンドマニアになったのです。彼曰く、「007の楽しさが判らなかったのは一生の不覚。人生の楽しさを一つ、失っていたようなものだ。それにしても「慰めの報酬」はヒドイ」。

 そこで皆さんにお薦めします、“「007」地獄旅”を。おどろおどろしい名前ですが、実際は“天国旅”ですよ。実は私の妻も、“地獄旅”の経験者。友人同様、「慰めの報酬」が嫌いで、私同様「スカイフォール」に大期待を寄せています(ちなみに友人も妻もシリーズは2周しています)。

 “地獄旅”のやり方はいたって簡単。シリーズの製作順にただ観ていくだけ。無茶苦茶面白い作品からどうしようってなる作品まで様々ですが、いまだかつてないワクワクする映画体験が出来ることは確実です。どうですか? ボンドマニアになってみませんか?

 とは言え、中には面白いヤツだけ観たいなんて人もいるでしょうね? そんな人のためにオススメ作を挙げておきましょう。
 コネリー/007なら「ロシアより愛をこめて」(1963年)と「ゴールドフィンガー」(1964年)。ムーア/007なら「私を愛したスパイ」「ユア・アイズ・オンリー」(1981年)、ダルトン/007なら「リビング・デイライツ」(1987年)、ブロスナン/007なら「トゥモロー・ネバー・ダイ」(1997年)、そしてクレイグ/007第一作でシリーズ五指に入る傑作「カジノ・ロワイヤル」
 いやぁ、「007」って本当に、面白いですよ~!
 
 それでは、また来月!

映画相談人小玉大輔(「シネマ倶楽部」2012年12月号)
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2012/12/01(土) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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