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“映画の星座盤”第24回「252 生存者あり」はパニック映画の宝箱!「宇宙からの脱出」「タワーリング・インフェルノ'08」etc...

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

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★「日本テレビ」と「ワーナー」がタッグを組んだパニック超大作!

 「パーフェクト・ストーム」(2000年)級の巨大台風が東京に上陸。「アルマゲドン」(1998年)の小隕石ばりのヒョウが銀座を襲い、「アビス」(1989年)ばりの巨大津波がお台場を直撃し、ランドマークのフジテレビをぶっ壊して、地下鉄新橋駅を水没させてしまいます。「ポセイドン」(2006年)のようにからくも生き延びた人々の中には、「デイライト」(1996年)でシルベスター・スタローンが演じたような元ハイパーレスキュー隊員の伊藤英明がいたのです。彼は、救出活動をしているはずの、かつての同僚へのメッセージとして、水道管を“生存者あり”のコールナンバー、2-5-2のリズムで叩き始めます。その音を聞いたハイパーレスキュー隊は、英明の兄で隊長の内野聖陽の指揮の下、危険な救出に挑むのでした…。

 これは、日本テレビとハリウッド・メジャー、ワーナーの日本支社がタッグを組んだパニック超大作「252 生存者あり」(2009年)のあらすじです。お分かりのように過去のパニック映画の要素を、これでもかこれでもかと盛り込んだ、まさに“パニック映画の宝箱”なんですね、これ。

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★アポロ13号の事故を予言した「宇宙からの脱出」

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 中でも、本作がクライマックスで参考にしたと思えるのは、未だ日本ではDVD化されていない「宇宙からの脱出」(1969年)という映画。この作品、監督は「荒野の七人」(1960年)、「大脱走」(1963年)のジョン・スタージェスで、主演は「ローマの休日」(1953年)のグレゴリー・ペックです。故障で地球に生還できなくなった有人宇宙船の救出を当時の最先端の特撮技術でリアルに描いています。

 それでですね、「宇宙からの脱出」の最大の危機「252 生存者あり」と同じ台風なんです。猛烈な風と雨で救出ロケットが打ち上げられなくなるのです。で、「管制センターに残された手は?」ってのがクライマックスです。この危機の解決法が「252 生存者あり」と同じ。まぁ、台風って言ったら、この手しかないんで、パクリっていうのは可哀想な気もするんですけどね。

 ところで、この「宇宙からの脱出」ですが、公開の翌年1970年に思わぬことで注目を浴びることになりました。かの有名なアポロ13号の事故発生です。なんと、「宇宙からの脱出」同様、宇宙船が地球への帰還不可能になったのです。全米が固唾をのんで見守ったこの事故の詳細は、1995年にトム・ハンクス主演で映画化された「アポロ13」で観てもらうとして、これこそ、“歴史は芸術を模倣する”ですね。

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★パチものネーミングも、あっと驚く拾い物「タワーリング・インフェルノ'08」

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 「宇宙からの脱出」に似ているというのは台風を使った時点で仕方がないことなんですが、実は「252 生存者あり」にはもう1本そっくりな映画があるんです。とってもマイナーな作品なので、案外、「252 生存者あり」の製作チームは観客にばれないだろうと、確信犯的に換骨奪胎したんじゃないかと、私は疑っているのですよ。その作品のタイトルは「タワーリング・インフェルノ'08」(2007年)。

 ちなみに1975年のパニック映画の古典「タワーリング・インフェルノ」とは何の関係もありません。日本の未公開映画にはよくある“パチものネーミング”です。中身はドイツ製の2時間ドラマ。「何だ、テレビか」って言うことなかれ。パニックものの定石を踏まえた安心マークの展開と、CGに頼らぬ炎スタントで96分の上映時間を一気に駆け抜ける「あっと驚く拾い物」です。

 被災者とレスキュー隊のドラマが同時進行する展開もさるものながら、主人公の過去が「252 生存者あり」伊藤英明とほぼ同じなんですよね。しかもこっちの方が主人公とレスキュー隊の葛藤がより深く描かれているんです。正直なところ、私は、こっちの方がよく出来ているんじゃないかって思っているぐらいです。ものすごくマイナーな映画ですけど、もしご利用の店に在庫があれば迷わずレンタルを。夜のビールのお供には最適ですよ。

★「252 生存者あり」のオリジナリティとは?

 こうしてみると、「252 生存者あり」は過去の有名・無名の様々なパニック映画の要素を引用している作品です。でも、決してくさしている訳ではありません。本作には他の同ジャンルにはないオリジナリティがあるんです。

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 まず、パニック映画って災害の犠牲者を見せてなんぼってのが基本みたいになっているでしょう。大量に死んで“スペクタクルの見せ場”、一人死んで“愁嘆場”ってパターンで。いい例がヒラリー・スワンク主演の「コア」(2003年)。限られた登場人物を次々殺して、物語を引っ張っていきます。でも「252 生存者あり」は違うんですね。なんと、「252 生存者あり」はセリフのある登場人物は○○○、○○○○んです。まさに定石破り。

 さらに「252 生存者あり」は昨今の日本映画必須の要素“泣き”のシーンも一捻りしています。なんと、「泣かせるなら自ら泣こう、ホトトギス」をするんです。エンディング近くで、映画史上初と言っても良い、映像表現があります。私はこの表現で本作が長く映画ファンに語り継がれる作品になったと思っているんです、マジで。

 夜空の星の如く無数に輝く映画。そのいくつかを星座のように繋げるのは映画ファンの楽しみ。今月の星座はいかがでしたか?

 それでは、また来月!

映画相談人・小玉大輔(「シネマ倶楽部」2009年6月号)
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2009/06/01(月) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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