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“映画の星座盤”第32回 2009年にDVDリリースされた映画から選ぶ「ベスト・オブ・2009」

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

 今月の星座盤は、私の“ベスト・オブ・2009”を発表させていただきます。昨年、DVDでリリースされた映画の中から、「こりゃ、すごい!」とか「よく出来てるよなぁ~」って感じた映画を選んでみました。もし、まだ観ていない作品があれば、この機会に是非!

★やっぱりクリント・イーストウッドでしょ!「グラン・トリノ」

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 クリント・イーストウッドの最後の主演作と言われている「グラン・トリノ」(2008年)。オーソドックスな老境映画かと思いきや、実は“力には力で対抗すべき”というアメリカ的な正義の限界を反省するという奥行きのあるテーマが見事です。

 でも私がこの映画で一番好きなのは、歯を食いしばって怒るイーストウッドがカメラに向かってパンチするところ。これってファンの間では、“イーストウッド・パンチ”と呼ばれていまして、イーストウッドが第一線のアクションスターだった70~80年代の主演作で必ず披露した必殺技なんです。言うなれば16紋キック。もうねぇ~、イーストウッドと共に人生を送ってきた20世紀少年のおっさんは、「クリントが最後にあの技を出してくれた!」って感涙です。

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 ちなみにイーストウッドが監督に専念した「チェンジリング」(2008年)では、アンジェリーナ・ジョリーが犯人に「ダーティハリー」(1971年)ばりの尋問をしていましたね。

★オリバー・ツイストと純愛映画、奇跡の合体!「スラムドッグ$ミリオネア」

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 チャールズ・ディケンズ『オリバー・ツイスト』以来のイギリス児童文学の伝統をインドで蘇らせた「スラムドッグ$ミリオネア」(2008年)。序盤は「どうして?」で疑問を持ち、中盤は「こんなぐ偶然あるか!」って唖然とし、終盤では「良かったね」と主人公の一途な愛の成就に涙するっていう現代のおとぎ話。観た人から、どうしてラストで踊るのって聞かれますけど、「インド映画だからね」としか答えられません。

★観たらビックリ!サスペンスの拾い物「Mr.ブルックス~完璧なる殺人鬼~」&「屋敷女」

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 映画史上最も家族思いの連続殺人犯が主人公の「Mr.ブルックス~完璧なる殺人鬼~」(2007年)。ケビン・コスナーデミ・ムーアウィリアム・ハートと、80~90年代の懐かしスターが共演って聞くと、出がらしのお茶みたいな気がする人もいるでしょうけど、ところがどっこい、これが面白いのです。「ここまで入り組ませて、後でどうするつもり!?」って心配になる複雑怪奇な物語が、クライマックスで縁取りの糸のように綺麗に解かれ、収まる所にすべて収まっていくのです。その爽快感は格別です。一応、三部作構成だったそうですが、興行的に失敗したので、続編はありません。無念。

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 ややこしいことは最少限。ただ怖いのがいいって人は「屋敷女」(2007年)を。陰惨描写では限度を知らぬフランス映画ならではの強烈作で、理不尽&無慈悲な物語は特筆ものです。「あ~、これ以上は勘弁!」っていう最後の残酷描写は、なんとボカシ付き。あなたはこの衝撃に耐えられるか?ボカシ無しで観たい方はセルDVDでどうぞ。

★男気が燃えるスポーツ・コメディ!「俺たちダンクシューター」

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 「俺たちフィギュアスケーター」(2007年)のウィル・フェレル。実は彼、アメリカでは熱血スポーツ・コメディのスターとして知られているんです。そんな彼が最後のスポーツ・コメディとして主演したのが、「俺たちダンクシューター」(2008年)。おバカな笑いあり、熱い男の友情ありの、まさにキャリアの集大成と言える作品に仕上がっています。男気が炸裂するクライマックスなんか、うっかりしてると目頭がジ~ン。

★見応え十分!重量級の夫婦ドラマ「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」

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 レオナルド・ディカプリオケイト・ウィンスレット「タイタニック」(1997年)コンビが再共演を果たした「レボリューショナリー・ロード/燃え尽きるまで」(2008年)。全編、夫婦喧嘩が連続する映画です。その中で現実と折り合いをつける夫と、あくまで夢を追い求めようとする妻の、そのすれ違う心情を濃密な人物描写で抉り出していきます。観終わった後のやりきれなさは尋常ではありませんが、「しっかりした大人の映画だったなぁ」と充実感は得られます。向田邦子が好きな人は是非!

★これが知的エンターテイメントだ!「フロスト×ニクソン」

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 知的興奮を得たい人には、ウォーターゲートで失脚したニクソン大統領の歴史的TVインタビューの裏事情を描く「フロスト×ニクソン」(2008年)がお薦め。観ながら「こいつ、大丈夫か?」って心配になる主人公であるお気軽TVタレント、フロストのキャラクター造形が抜群。3ラウンドで戦われるインタビュー戦の緊張感は、並みの法廷サスペンスを軽く凌駕!

★今年リリースされた邦画のダントツ!「実録・連合赤軍/あさま山荘への道程」

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 70年代初頭、日本を震撼させた過激派“連合赤軍事件”の全貌を描く力作。3時間10分という長尺をまったく飽きさせないんですよね。中でも“総括リンチ”が描かれる中盤の緊張感は圧巻。まるで心に砂ヤスリがかけられるような気持ちになりますよ。そしてラストでは連合赤軍に参加した若者たちへの哀惜の念が生まれます。

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 残る2本は、以前にこのコーナーで取り上げた「ウォッチメン」(2008年)と「プライド」(2008年)。どこがどうお薦めなのかは読者の方ならお分かりですよね。

 それでは、また来月!

映画相談人小玉大輔(「シネマ倶楽部」2010年2月号)
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2010/02/01(月) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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