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“映画の星座盤”第35回 「アバター」情報と佐々木希主演「天使の恋」がオススメ!

一本の作品から広がる映画の世界…。
気がつくと、それは星座の輝き。
映画検定一級の映画相談人が、
星と星を繋げるように、映画映画を繋げていきます。

★「アバター」のDVDは“これまで誰も観たことのない”バージョン

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 映画史上最大のヒット作「アバター」(2009年)。あまり知られていませんけど、本作は2つのバージョンで公開されていたんです。2D、3Dを問わず、一般の劇場で公開されたものと、アイマックスの劇場で公開されたもの。違いは画面の大きさ。アイマックス版は上下に大きいんです。つまり、一般劇場版では写っていなかったものが観えたんですよ。極論してしまえば、アイマックスで「アバター」を観ていない人は、本当の「アバター」を観ていないってことになるわけ。だからってDVD版の「アバター」は観る価値がないかっていうと、そんなことはありませんよ。反対に観る価値大ありです。というのも監督のジェームズ・キャメロンは、家庭ではまだ3Dでは観られないという環境を考えて、アイマックス版を基本にして新たに映像に手を加えているんですって。つまりDVDの「アバター」って、“これまで誰も観たことのない”バージョンなんです。

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 「でもお話は変わらないんだよね~」って言う人もいるでしょう。そんな人にすごい話を。今年の11月には「アバター/エクステンデッド版」がリリースされるかもしれません。こちらは劇場公開版より6分長くなります。「たった6分じゃ、変わんないじゃん!」。ハイ、そんなことを言う人のために、キャメロンはちゃんと考えています。いつリリースされるかはまだ決まっていませんが、劇場公開よりも30~35分間も長い「オリジナル版」を準備中。そこまで長くなれば、映画の印象もガラリと変わるでしょう。例えば同じキャメロン監督作品の「アビス」(1989年)のちょうにね。そうなんです、現在、DVDで観られる「アビス」は劇場公開版よりも31分長いのです。クライマックスなんて全然、違いますからねっ。

★「アバター」は「エイリアン2」である!

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 遥か未来、人類の植民団はある惑星に移り住みました。しかし、そこには凶暴な未知の生物“エイリアン”が生息していて、植民団に襲い掛かってきます。救出に向かうのは、宇宙海兵隊の猛者達と、かつて“エイリアン”と戦った女丈夫、リプリー。

 これはキャメロン監督が1986年に発表した「エイリアン2」の設定。この設定を逆にして、“エイリアン”が人類を倒す物語にすると、何になるかわかります?「アバター」です。どちらも宇宙海兵隊が出てくるし、操縦型ロボットとエイリアンの戦いがクライマックスになってます。しかもですよ、「エイリアン2」でエイリアンに憎悪を燃やすヒロイン、リプリー役だったシガニー・ウィーバーは、「アバター」ではエイリアンに慈愛を注ぐ女科学者グレイスを演じているんです(冗談みたいな話ですけど、最初シプリーって名前だったんですって)。


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 「アバター」は一部でアカデミー賞映画「ダンス・ウィズ・ウルブス」(1990年)やディズニーアニメの「ポカホンタス」(1995年)、宮崎駿監督の「もののけ姫」(1997年)なんかとの共通点が指摘されていますが、私は「エイリアン2」の焼き直しという方が正しいんじゃないかなって思ってます。見比べてくださいね。

 と、「アバター」の話はこれぐらいにして、最後にこの春一番のおススメ映画を紹介しましょう。
 佐々木希主演の「天使の恋」(2009年)です。

★「天使の恋」。それは最高の“マヨネーズかけご飯”!

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 本作の最大のテーマは佐々木希のアイドル映画として成立させること。つまり観客が希嬢に魅力を感じなければ失敗なわけです。そこで作り手たちは希嬢の魅了を最大限画面に映し出そうと、あらん限りのプロの技術を投入しています。衣装、小道具に始まり、ロケ地の選定から撮影時の照明の当て方、レンズの選び方、構図の切り取り方手抜きは一切なし。まさに匠の仕事です。同時期にリリースされる「僕の初恋をキミに捧ぐ」と観比べていただければ、本作の技術の素晴らしさがよくわかると思います。

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 しかし技術パートがどんなに頑張っても、希嬢の演技がダメならぶち壊しです。希嬢の演技経験は、ほとんどゼロに等しい訳ですから。そこで監督・脚本の寒竹ゆりは考えました。物語を展開させるのを、谷原章介と助演の若手女優陣に任せたのです。希嬢には彼らの行動に対して“好き・悲しい・寂しい”といったわかりやすい感情表現でリアクションさせるだけ。このような演技に不安がある主演者を守る作劇は以前、本欄で紹介した「プライド」(2009年)でも取られていましたが、本作の方がより効果をあげています。

 本作で私が評価している部分は2つあります。ひとつは前半の約30分間。正直言って、何の予備知識もない人が観たら唖然とすること間違いなしの展開が待っています。詳しくは観てのお楽しみですが、本作の希嬢が“天使”ではなく、“悪魔”か“堕天使”と言った方が適切な“ビッチ”キャラとして描かれているとだけ言っておきましょう。ほんと、昔の東映のスケ番映画みたいです。もうひとつはラスト。これも詳しく書けませんが、“ケータイ小説映画”のイメージを覆します。その裏切りはとっても心地よいんです。「時をかける少女」(1983年)と「バタフライ・エフェクト」(2004年)がお好きな方はツボですよ。

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 本作を初めとする“ケータイ小説映画”は“マヨネーズかけご飯”みたいなものです。大人にはおよそ、食べられたものじゃないんですけど、若い子には好きな人が多いんですよね。寒竹監督は、“マヨネーズかけご飯”が好きな人には、最高においしい“マヨネーズかけご飯”を作ってあげようとしました。そして見事に作り上げたんですね。しかもその味は、“マヨネーズかけご飯”なんてゴメンだっていう人にも、「あれ、食えるなぁ」と思わせるものだったのです。皆さんも一度、ご賞味あれ!結構、おいしいですよ。

 夜空の星のごとく無数に輝く映画。そのいくつかを星座のように繋げるのは映画ファンの楽しみ。今月の星座はいかがでしたか?

 それでは、また来月!

映画相談人小玉大輔(「シネマ倶楽部」2010年5月号)
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2010/05/01(土) | 映画の星座盤 | トラックバック(0) | コメント(-)

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